星みたいな恋をしよう

身近にいる人が突然豹変する、これほど怖いことはないだろう。アーサーはいつの間にか無表情になっており、絆の足が竦んでしまう。その時だった。

絆が羽織っているカーディガンのポケットに入っているスマホが、振動して着信音が鳴り響く。誰かから電話がかかってきているようだ。その途端に、アーサーはハッと我に返ったようにいつもの笑みを浮かべた。

「怖がらせてしまったね。すまない。ただ、僕も早く光里の事件が解決してほしいと思ったからね。内心、焦りと期待を抱いてたんだ」

そう言った後、アーサー教授は絆の横を通り抜ける。一瞬、絆は何かされるのではないかと身構え、目を強く閉じてしまった。だが、アーサーは絆に何もすることなく建物の中へと入って行く。その後ろ姿を見た刹那、絆は安堵して地面に座り込んでしまった。

「あんなに怖い教授、初めて見たわ……」

光里の事件が起こった時、彼は壊れかけていた絆のカウンセリングをし、絆の心を支えてくれた。優しいアーサーしか今まで見たことがなかったため、思い出しただけで恐怖がまた込み上げて来そうになる。

「あっ、電話……」