あたしの言葉は蓮の唇によって、塞がれてしまった。


そして一瞬あたしの顔を見ては微笑み、何ごともなかったかのように元の体勢に戻る。


「あー、すごい。できてる」


蓮はあたしの筆箱から赤いボールペンを取り出し、丸をつけた。


「れ…ッ、蓮今のって……キスだよね!?」


あたしは興奮しすぎて、つい我を忘れてしまった。


気付いた時にはもう、時遅し。


みんながあたしを見ていた。


「……キス?」

エリ子が首を傾げる。


「おい、如月。お前、いくら溜まってるからってな…」

続けて先生も一言。


……ヤバい。

完全に怪しまれている…。


「あぁ?何勘違いしてんだよ。魚の鱚について勉強してただけだよ。しかも何も溜まってねぇし」


蓮が言った。

しかし先生は疑いの目を未だにコチラに向けている。


「鱚について載っている教科書、どこにあんだよ」


「キスという名前と鱚という漢字の由来は定かではないって教えてたんだよ。だよな?雪」


あたしは必死にコクコク頷いた。

蓮の目が怖い…から。


「確かにな。鱚は江戸時代にはキスゴって言われていたらしいからな。つかそんなの勉強する必要ねえよ」


と先生は、腕を組みながら言った。


……何とか、誤魔化す事ができた…かな?