「雪…ッ、何でいんだよ」


さっきまで掴んでいた工藤の胸ぐらをパッと離し、南に視線を送った。


「えー、蓮探してた」


「雪村、丁度いい。お前明日、如月とは会うな」

南の声を無理矢理遮り、工藤は視線をディスクに向けながら静かに言った。


今の職員室は、がやがやと賑わっていて、なかなか聞き取りづらい。


でも南には聞こえたらしい。


「はは、何でそんな制限されないといけないの。嫌だ」


「制限じゃない、補習だ」


南は突然の言葉に、理解することができなかった。


……補習という言葉が南の頭の中でグルグル回る。


「補習!?無理無理無理!!クリスマスは蓮と過ごすもん!!ねぇ!?」


南は場所を気にすることなく大声で蓮に助けを求める。


しかし、蓮は突然絡まった視線を一瞬にして離してしまった。


「……し、知らねぇよ」


蓮は真っ赤になった顔を隠すようにして、そう言った。


……嫌だ。

違う、そんなコトが言いたいわけじゃない。


だけどそれを、蓮のプライドが許さなかった。



そんな素直になれない蓮を工藤は馬鹿にしたように鼻で笑う。


「ほれ見ろ。お前の彼氏なんかお前と出かける予定はなかったそうだな。じゃあ、明日9時に校門前で待ってろ」