変わらない愛しい声。

でも今のあたしは自分では気付かなかったけど、彼の信用を失っていた。


抱く感情は、憎しみ。



「もしもし?今、どこにいる?」


震える手、足、唇…


尋常ではない程に、身体が震える。


でも蓮に伝わるこの声だけは、冷静にしないといけない。


あたしは普通通りに彼と接した。


『え?あ、あー……。今、学校から出たとこ。今、お前ん家向かってる』


………。

どこが?

今、蓮が向かってる所…あたしの家と正反対。

向こうは、夜の世界…、ラブホ街。


「ふーん……。」


彼に抱いていた感情が全て流されていった。


そして流された感情が、全て憎しみに変わる…。

立つ余裕さえなくなり、その場にしゃがみこむ。


……終わった。

『どした?』


「あの女の人…誰?」


自分でも驚く程に、低い声が出た。

全身の震えが止まる。