* *


「え、嘘…。2万…8000円!?」


蓮は、何度も計算を繰り返し出てきた答えに頭を抱えていた。


そもそも高校生だけでフランス料理店に行くってこと自体ありえないのに…。

この金額はもっとありえない。


「……蓮、俺も半分だそうか?」

優が南にバレないように、そっと耳打ちする。


雪村南は2人の不安など気付かずに、ただ前に出された料理をひたすら食べ続けていた。


「いや、いいよ。お前にまで迷惑をかけれない」


……しかし、雪の胃袋はどんだけデカいんだ。


絶対、コイツ、女じゃない。


「あ、そうそう。優。あのね、千明に優の事めっちゃ紹介したよ。ほんで、深波はやめるんだって。」


料理を口に入れながら、喋り続ける南。

……コイツは、マジで女か。


「ええ!?マジ!?じゃあ、今度夏祭り誘おうかな!?」


南の言葉に喜ぶ優。


……俺は、栗原千明は苦手だ…。