「いえ、実は私の主人の従弟で。」

「えー!そうなの?そっかー、だから、昨日電話でイラストレーターの名前聞いたりしてたんだ。それにしても、たまたま私が依頼した候補にアキが入ってたなんて、これまた奇遇ねぇ。」

ま、そういうことにしておこう。

「編集長、今回は日色アキの絵で行くということでよろしいですか?」

荻原さんは、嬉しそうに山根編集長に向き直った。

「はいはい。ハルちゃんがそういうんじゃしょうがない。後は荻原に任せるよ、よろしくな。」

私のイラストはアキに決まった。

荻原さんは、近いうちにアキとの顔合わせと打ち合わせをするということでスケジュールを聞いてきた。

またあんな礼儀知らずの奴に会わなきゃ行けないって思いつつ、でも、不思議とまた会えることに気持ちが高ぶっている自分がいた。

あんな素敵な絵が描けるっていうことだけは尊敬できるっていうか、そういう点については少し話してもいいかもって。

あと、こないだの送料返してもらわないといけないし。

とえいあえず一度は会わないとね。

ただ、それだけ。