「ちょっと遅れてきたが、今日からみんなの仲間入りだ。自己紹介を頼む」


 担任教師の言葉を聞いて、教壇に立つ男子生徒がゆっくり口を開く。


「蜂屋 奈緒(はちや なお)です、みんなよろしく」


 それで終わり? 自己紹介が短いっ!

 でも、低い声のイケメンボイスにクラスメイトの女子は夢中だ。


 転校生じゃないので、これでいいのだろうと思いつつ。

 彼を見つめる私の鼓動がドキドキと早くなっていくのが分かった。


 教壇に立つ彼に視線を向けていると、私の顔が赤くなってくる。

 胸が、ぎゅっと締め付けられて苦しい。


「奈緒くん……」


 思わず、小声で彼の名前を呼んでしまった。


 サラサラの黒髪に整った顔立ち、背が高くてイケメンな制服姿の男子生徒。

 この高校に少し遅れて入学してきたのは……



 小学生の時に転校していった、幼なじみの蜂屋 奈緒くんだった……