奈緒くんと並んで歩く通学路。

 何気ない会話でも、幸せを感じる。


「やっぱり、姫乃は金髪のほうが可愛いって」


「そんなの無理だよう、先生に怒られちゃう」


 三つ編みに結んだ長い髪は、すぐに黒く染めてしまう。

 レディースのみんなと、金髪姿で写メを取ったのはいい思い出。


 教室に入ると、いつもの風景が広がっていた。


「おはよう……ございます……」


 自分の席に座っていた谷崎くんに、勇気を振り絞って挨拶してみる。


「おっ、おう……」


 谷崎くんは、私のことを地味子とは呼ばなくなった。

 あの夜のことがあってから、態度が一変したみたい。


 カーストの子たちとも和解して、少しずつだけど会話もするようになった。


「奈緒くん、やっぱり私って地味かな?」


 制服姿の私は、彼の目前で恥ずかしそうに立って見せる。


「そんなことない、姫乃は可愛いぜ」


「ありがとう」


 大好きな幼なじみとの同居は今も続いてる。


 でも、私たちが彼氏彼女の恋人関係なったのは



 お母さんに秘密だけどね……








 ~fin~