「あははははっっ! いい気分だ!」
クラスメイトに陰で暴走族だと知れ渡ってることが嬉しいみたい。
しかも総長だっていうんだから、周りの生徒も警戒してるのが一目で分かる。
きっと、周りに恐れられる存在でいたいのだろう。
高笑いを終えると、谷崎くんは肩で風を切りながら自分の席に戻っていく。
しかも、その足下を見ると、学校指定の上靴ではなく教職員玄関に置いてある来客用のスリッパを履いてる。
「どうして自分から、先生に目を付けられるような行動をするのかな……」
その心境は、私に理解しろといっても無理だろう。
内気で目立つことを嫌う私とは、水と油のような存在。
でも、なんで私みたいな地味子に話しかけてくるのだろう。
色々と勘ぐってしまうけど、悪い予感しかない。
知らないうちに、目を付けられてしまったのだろうか……
月曜日の朝、ホームルームが始まる前から憂鬱だ。
不安な気持ちを押し殺すように顔を上げ、隣に顔を向ける。
隣の席を見つめる私には、気掛かりなことがあったからだ……



