さすがに立ち止まり、私は声を上げた。
「あの!すいません……」
谷崎くんと背後の暴走族が、一斉に私を見つめた。
遅れて視線を向けた奈緒くんは、口を噤んだまま目を丸くしてる。
すぐに、めんどくさそうな顔をして私を睨んできた。
「さすが奈緒くん……」
幼なじみに速攻で正体がバレたらしい。
「なんだ、てめーはよぅ!これから始まるタイマンに……」
谷崎くんが私の姿をよく見て、言葉に詰り話すのを止めた。
背後にいる暴走族仲間も、私を見てザワザワしてる。
金髪サイドテールに赤いシュシュ、特攻服の背中には初代総長の文字が。
白いサラシを胸に巻き、赤い特攻服に身を包んだ姫。
姫花お姉ちゃんだけでなく、私だって姫乃だから大丈夫。
そんな風に自分の心へ言い聞かせ、気持ちを誤魔化していた。
「いきなり現れて、驚くじゃねーか……」



