放課後、私はカーストの子たちから校舎の裏に来るよう命令されていた。


 こうなってしまうんじゃないかと予想はしてたけど、しかたない。

 あれだけ目立つ行動をしてたら、不快に思う子たちが黙ってないよね。


 中学生の私は顔を下に向けて俯き、黙り込んでいた。

 目立つことを避ける地味子になって、トラブルを回避する。

 でも、高校でそれができなかった。


 きっと、奈緒くんと楽しく過ごした日々の代償なんだよ。

 私は内気な地味子、逆らわず言われた通り、放課後に校舎の裏へ足を向けた。

 奈緒くんには黙ってきたよ、迷惑はかけたくないから……


「よう地味子、きたなぁ~」


 なぜ? ここに谷崎くんがいるのっ!

 カーストの子だけじゃなかった!


「助っ人の上級生、連れてくるかなって身構えてたんだけど、ハズレだったみたいね」


 カーストの子たちが、周囲を見回して話してる。

 和泉ちゃんは学校でも有名人だから、レディース暴走族の情報は聞いてたんだ。

 今日の昼休み、私が教室から連れ出されたことは話題になっている。



 だからって、地元暴走族の総長を用心棒にするなんて……