翌朝、いつもの通りに学校へ向かう。


 ブレザーの制服姿で、私は長い髪を肩から毛先まで三つ編みに結ぶ。

 顔の表情も見られたくないから、前髪もちょっと伸ばしてる。


 痩せてて細身の体型もコンプレックスだ。

 足は細くても、スカートは短くしないで膝丈のまま。


 どこから見ても地味子なのは自分でも分かってる。

 内気で気が弱い私は、あまり目立つ格好をしたくない。

 顔を俯かせ、おとなしい女子高生として学校生活を過ごしてる。


 教室に入って自分の席に座ったけど、誰からも「おはよう」の挨拶はない。

 私は透明人間、空気なのだからしかたないよね。

 高校生活はずっとこんな調子なのかとさえ思えてくる。


「今日も地味だな、つまんね~」


 先週、私のことを地味子あつかいしてきた男子が絡んできた。

 見た目と話し方がちょっと怖い不良男子なので、視線を下に向けて無言をつらぬく。

 私は中学校生活の三年間を、この方法で切り抜けてきた。



「なんのリアクションもね~の? つまんね~やつだな」