写真立てに入れて、枕元に置いてあった奈緒くんとの思い出。

 この先、再会することはないって自分に言い聞かせ、ずっと諦めてた。


 小学生で奈緒くんとの時間は止まっていたけど……

 大好きな幼なじみへの気持ちは、高校生に成長しても変わることはなかった。


「ごめんなさい」


 私は我に返り、奈緒くんから体を離して立ち上がる。

 制服のスカートを翻しながら、急いで彼に背を向けて照れ顔を隠した。


「あやまることね~よ」


「そうかな……」


「なんか、すっごく懐かしい気分になってうれしかったぜ」


 私も、お互いの家に行き来して遊んでいたころを思い出してたよ。

 あの頃はあまり深く考えてなかったけど、私は成長して異性を意識するようになってる。


 中学生だった時の私を、奈緒くんは知らない。

 内気で目立つことを嫌う地味子は高校生になっても健在だ。



 でも、奈緒くんと一緒の学校生活だったら……