制服姿のまま、私と奈緒くんは食卓テーブルの椅子に並んで座ってる。


「奈緒ちゃん、夕食つくってあるから食べていきなさいよ」


「やった、おばさんサンキュー」


 奈緒くんとお母さんは数年ぶりに顔を合わせたはず。

 ひさしぶりに再会したって感じには見えない。


「驚いたでしょ。奈緒くんと一緒の高校になること、お母さん黙ってたのよ」


「はあ?」


 私を驚かせようと思って、奈緒くんがこの町に戻ってくることや同じ高校へ進学することも秘密にしてたんだ。

 お母さん、そういうことされても私はうれしくないよ……


「何回かこの家に来てるけど、いつも姫乃は不在なんだぜ」


「そうよ、この前だって奈緒ちゃん一人で引っ越しの挨拶に来たんだから」


 そういう大事なことは、年頃の娘に報告してくれないと……


「俺の両親は、急な都合でしばらくこの町に来ねーから」


「奈緒ちゃんね、しばらく一人暮らしなのよ」



 奈緒くん、身の回りのことできるかな……