「ひさしぶりね、奈緒ちゃん」

 お母さんが姿を見せて、私たちをリビングへ招き入れてる。

 奈緒くんは靴を脱ぎ、涼しい顔をして歩き始めた。


「ちょっとまって、なぜ自分の家みたいに堂々と……」


 私も慌てて靴を脱ぎ、後を追う。

 奈緒くんはすでに、自分の家みたいな感覚で食卓テーブルの椅子へ腰を下ろし寛いでる。

 呆気に取られた私は、その様子を目にして棒立ち。


「すごく居心地いいぜ、あの頃とまったく変わってないから落ち着くな」


 私はソワソワして落ち着かない。

 大好きな幼なじみといっても、三年のブランクがある。

 すっかりイケメン男子に変貌した彼を目前にして、胸のドキドキが止まらないよ。


「突っ立ったまま、どうしたんだ姫乃? 座らないのか?」


 奈緒くんは隣にある椅子を引いて、ここに座れと合図してる。

 いつも座ってる椅子だけど、なぜか緊張しちゃうよ。


「失礼します……」



 自分の家の椅子なのに、なぜ萎縮しちゃうの……