「さ、和ちゃん、おはじきしてみようか? ばぁば、結構上手なのよ」

 そこで母が立ち上がった。

 空気を変えるようにそう言ってくれる。

「おはじきー! ばぁばとするぅ」

 ぱっと和の顔が明るくなった。

 梓も笑みになって、持ってきていた大きめのバッグを引き寄せた。

 おはじきの入った袋を取り出す。

 これは百合子が貸してくれたものだ。

 しっとりした和柄の布の袋に入っているおはじき。

 出てきたおはじきは、和が以前言ったように、あめだまのように美しいものだった。

 透明なガラスの中に、赤、青、黄色……美しい模様が入っている。

「まぁ、とても素敵。買ってあげたの?」

 母はそれを見て、感心したようだった。

 優しい手つきでひとつぶ摘まみ上げて、しげしげと見ている。