エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

「あ、……ありがとう。うん、そう、だね」

 込み上げた熱いものは、ついに零れた。

 ぽろぽろっと目から溢れてくる。

 でもそれは悲しい涙ではなかった。

 むしろとてもあたたかく、優しく、渇いてしまった心に降り注ぐ慈雨(じう)のようなものだった。

「泣かなくてもいいのに」

 そのことをわかっただろうから、母は少し困った顔をしたものの、止めることなく、梓にハンカチを差し出してくれた。

 梓はそのハンカチを受け取って、目元を押さえた。

 ふわりと、母の使っている化粧品かなにかの良い香りがした。

 昔からこの香りがした母。

 この香りがはっきり感じるほど、しっかり抱きしめてくれたこともあった。

 そしてそのとき、梓はとても安心できたのだ。

 今度は自分が和にそういう気持ちをあげたい、と強く思ってしまう香りだった。

「ママぁ? どうしたの?」

 いつの間にか、和がそばにきていた。

 座布団に座った梓の腿に手をかけて、心配そうに伸びあがってくる。