その声と、言葉。

 梓の胸に突き刺さった。

 この子から父親という存在を奪ってしまったのは自分だ。

 強く胸に迫ってきたのだ。心臓を突き刺されたように、胸が痛む。

 奪ったのは和臣ではない。

 自分だ。

 何故なら、和臣の気持ちを聞きもせず、『終わり』を選択したのは自分なのだから。

「和……っ!」

 たまらなかった。

 腕を伸ばし、和を腕に抱く。ぎゅうっと抱きしめた。

 梓の声も涙声になった。

 なんて酷いことをしてしまったのだろう、と思う。

 それはある意味、シングルマザーとして育てているより酷いことかもしれなかった。