エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

 梓は名前を呼んだ。

 でもそこで止まってしまった。

 どう言ったらいいのか、すぐわからなかったのだ。

 その間に和は部屋に入ってきて、和臣が腰掛けていた椅子の肘掛け。

 子どもには高い位置のそれに手をかけ、身を乗り出した。

「わたしのパパなんでしょ……!」

 必死な様子で話しかける。

 和臣はすぐに返事をしなかった。ただ、戸惑った目で和を見下ろす。

 四歳の子に、どこまでわかっているものだろうか。

 ただ、和はさっき外で和臣が「この子の父親です」と言ったのを聞いている。意味がわからないはずはない。

 そして推察するなら、父と言っている人物が来たのに、自分だけ除けられているというのに耐えがたかったのだろう。

 子どもとして、父親という存在がいないのは普通ではないと知っているのだし、そこへ父と言う人物が現れたのだ。必死にならないはずがない。

「和……!」

 梓はたまらずにソファを立っていた。

 テーブルを回り込み、しゃがんで和の肩を抱く。

「ねぇ、パパなんでしょ、わたし……」

 それでも和は止まらなかった。

 泣き出しそうな声で続きを発する。

「ずっと会いたかったの……!」