「わ、わかりました……、百合子さん、すみません」

 梓の受け入れる返事に安堵したのは、きっと百合子だけでなく和臣もだっただろう。

「急に申し訳ございません」

 和臣が小さく頭を下げる。親しい相手、きっと梓が世話になっている存在なのだとはわかったはずだ。

 それで四人は連れ立って、オーナーの自宅へ向かった。

 梓は腹を決めたものの、ともすればぐらぐら思考が揺れてしまいそうなのを必死で堪えた。

 客間で二人になって、テーブルを挟んでソファと椅子に向かい合って、話がはじまるまでに、既に心は決まっていた。