「今日はメンチカツをいただいたよ。キャベツを刻んで食べようか」

「めんちかつ！　やったぁ！」

　梓が言い、ちょっとビニール袋を掲げてみせると和の顔は違う意味で輝いた。

　たね自体はランチタイムの残りであるが、揚げるのはついさっきしてもらったばかりなので、まだ揚げたてである。

　きっとお昼にまかないとしていただいたものと同じように美味しいだろう。

　こうしてたまに、余った食材やメニューなどももらえることがあるので、そういうところも助かっているのだった。

「さぁ、帰ろう」

　そう言って手を出し、和が梓の手を握り返したときだった。

　ブロロ、と小さな音がして車が走ってきた。

　ダークグレーの車だったが、梓はちょっと驚いた。

　どう見ても高級車だった。

　普通車であるが、普通に街中で走っている車とは少し違うように見えた。

　上品な見た目のその車は国産かどうかも怪しい。海外製のようにも見えるくらいだ。