同時に、普通に結婚して夫婦で子どもを育てて……という形になれなかったのが申し訳ないとも思ったけれど、母はそんなことを言わせてはくれなかった。

「それに、愛の証に変わりはないもの。とても大切な命よ。たくさん愛してあげてね」

 そう言って、梓を受け入れ、励ましてくれた母。

 夜に帰ってきた父も、驚きはしたものの、同じように言ってくれた。

 梓は心から安堵し、そして決意した。

 お腹の子を産むことを。

 母だけで育てることになっても構わない。

 独りではないから。

 母も、父も、それから友達も。

 シングルマザーであっても独りぼっちではないから、きっと産んで育てられるだろう。