「今度、おうちに呼んで見せてあげなさい」

 苦笑しつつ言ったけれど、和がすぐに納得するはずもない。

 もっと、ぷくっと頬が膨らむ。

「ええー、今日がいい!」

 でももう梓も慣れっこだ。

 最後の一枚を干してしまい、ベランダから洗濯かごを取り上げて、室内に入る。

「はいはい、次にしようね。結花ちゃんが遊びに来るなら、ホットケーキ焼いてあげるから」

 諫めるのと一緒に、ご褒美もつけてやる。

 こうすれば、きっと。

「ほっとけーき!?」

 その通り、和はすぐに膨れたのを引っ込めた。ぱっと顔が明るくなる。

 興味と気持ちが変わってくれてほっとしつつ、梓はベランダの窓を閉めた。

「うん。メープルシロップたっぷりかけたホットケーキにしようよ」

 梓の提案に、和はこくこくと頷いた。

「うん、うんっ! じゃ、今日結花ちゃん誘ってみるぅ」

 表情はすぐに変わって、満面の笑みに戻った。