しかし、和は笑みのまま、小さく首を振る。

「ううん……、こわかった、けど……、絶対パパが助けて、……くれるって、信じてたの」

 梓は目を見開いた。

 あのときの誓い。

 和は信じていたのだ。

 ある意味、梓自身よりもずっと強く信じていたのかもしれない。

 だから今、きっと笑みを浮かべられるのだ。

「……っ、和、強い子、だね」

 今度は呑み込み切れずに、潤んだ声になった。

「そう、かな……」

 和は少し不思議そうに言ったけれど、梓は何度も頷いた。

「そうだよ」

 それでも、疲労はまだ去っていないに決まっている。

 和の声はもっととろんとしていくので、梓はベッドにのぼった。

 ごそっと動き、横になって、和をしっかり腕に抱く。

 和は嬉しそうに、心底安堵した様子で、梓に寄り添ってきた。

「もう絶対に離したりしないよ」

 すぐに再びすやすや眠ってしまった和をしっかり抱きしめて、梓は呟いた。