三人では流石に眠れないので、和臣だけは帰宅だ。

 少し申し訳ないけれど、家や警察への連絡でしなければいけないこともある。

 それは和臣のほうがきっと的確にできるだろう。

 甘えてくれ、と和臣が言ってくれた気持ちに梓は頷いた。

「じゃ、おやすみ。明日、一番に来るな」

「うん、おやすみなさい」

 それで二人、病室の前で別れた。

 梓は和臣が廊下を歩き、角を曲がって見えなくなるまで見送った。

 そうしてから、また静かに病室に入る。

 音を立てないように移動したつもりだったけれど、梓が椅子に腰掛けたとき、小さく金属音がしたからか。

 ん、とベッドの和が声を上げた。

(まずい、起こしちゃったかな)

 梓はどきっとしたけれど、ベッドの上の和はその通り、そろそろと目を開けてしまった。