「もちろん、許さない。幸い、和は無事だったが、一歩間違えばどうなっていたかわからないんだ」

 和臣もそう言った。

 梓は再び、少しぞくっとしてしまいながらも、それはなんとか呑み込んだ。

 美穂が持っていたのは、予想通りスタンガンだった。

 モデルという職業上、護身のために持ち歩いていたもの。

 和臣は穂住の動きで美穂に一瞬、隙ができたと見て駆け寄った。

 そしてスタンガンを握った手を上から、手の側面を使って、はたいたのだ。

 その衝撃で、美穂はスタンガンを取り落とした……。

 骨折はさせなかったものの、痣くらいは残るかもしれないが、そのくらいは勘弁してもらおう、と和臣は言った。

 その力加減や、そもそもとっさの判断は、普段から戦いの訓練を積んでいるSPだからこそ上手くいったものかもしれない。

「だが、今日はもうやめよう。落ち着いてから考えよう。梓も休んだほうがいい」

 和臣がそう言い、梓の肩を優しく抱いてくれた。