そこでの話を聞かせてくれた。
大事に至らなかったとはいえ、誘拐事件である。
美穂は一時拘束されることになり、取り調べは明日以降になるそうだ。
そう聞いて、移動してからはずっと院内にいた梓はようやく、もうすっかり夜になっていることを知った。
「美穂なりに、気持ちを整理していたんだな。しかしそこへ、偶然だが俺たちに再会してしまった。それで苦しかったんだと思う」
「……うん」
今なら、あのとき美穂が叫んだ意味がわかる。
梓は何度も嫌な思いをしたけれど、和臣との別れは美穂だって傷ついたに決まっている。
それが根底にあり、それでもなんとか気持ちを消化しようとしていた。
だが、梓と和臣との再会により、噴出してしまったのだろう。
そう思うと、許せないとは思いつつも、憎み切ることもできないと思うのだ。
大事に至らなかったとはいえ、誘拐事件である。
美穂は一時拘束されることになり、取り調べは明日以降になるそうだ。
そう聞いて、移動してからはずっと院内にいた梓はようやく、もうすっかり夜になっていることを知った。
「美穂なりに、気持ちを整理していたんだな。しかしそこへ、偶然だが俺たちに再会してしまった。それで苦しかったんだと思う」
「……うん」
今なら、あのとき美穂が叫んだ意味がわかる。
梓は何度も嫌な思いをしたけれど、和臣との別れは美穂だって傷ついたに決まっている。
それが根底にあり、それでもなんとか気持ちを消化しようとしていた。
だが、梓と和臣との再会により、噴出してしまったのだろう。
そう思うと、許せないとは思いつつも、憎み切ることもできないと思うのだ。



