エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

「良かった、大事に至らなくて」

 流石にまだ離れる気にならなかったので、ドアだけ閉めたところに二人は落ち着く。

 和臣が心底安堵したという声でそう言い、そっと梓の肩に腕を回してきた。

 その優しい手つきと温度に、梓の中で、我慢していたものが、ぶつっと切れた。

「良かった……っ、よか、……っう、ふぅっ……!」

 和臣の体に縋って、泣きじゃくりだした梓。

 その体を和臣はしっかり抱きしめ、頭を抱き込んでくれた。

「うん、良かった。梓も不安だったよな。もう大丈夫だ」

 声を押し殺して泣きじゃくる。

 やっと溶けた不安が涙になって、一気に出てきたのだ。

 和臣の声も、少し震えていた。

 泣いてこそいないが、痛みから解放されたような声をしている。