「穂住くんだったね。ママとはぐれたのかな?」

 梓もやってきて、かけられたのが優しい言葉だったからか、少しほっとしてくれたらしい。

 ぐいっと目元を拭って、口を開いたのだけど……。

「ねえちゃんが……っ、のどかを、連れて行っちゃった……!」

 梓も和臣も息を呑んだ。

 梓に至っては、心臓を掴まれたような痛みが走る。

 嫌な想像は本当のようだった。

 当たっていてほしくないと思ったのに……。

「美穂が……」

 和臣が呆然と呟いた。

 梓のほうはすぐに言葉も出てこなかった。