エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

「で、でも」

 とっさにためらってしまった。

 家に押しかけるというのは……。

 だが和臣が言い切った。

「無駄足ならそれでいいんだ。だが、和がいるなら……、うん、とにかく心配だ」

 言葉を濁したのは、嫌な想像だったからだろう。

 梓もそんなことを口に出したくはなかった。

 言葉にしたら、本当のことに近付いてしまう気がしたのだ。

「……わかった。行こう」

 ぐっとこぶしを握った。

 その梓に、和臣がまだ強張った顔ながら、笑みを浮かべてくれる。

 お店のひとたちとおまわりさんに、厚くお礼を言って、部屋を出た。

 店内も抜けて、外へ出た。

 二人、連れ立って道を歩き出す。