店内のバックヤードで待たせてもらうこと、本当に三十分ほど。

 和臣が「七瀬です」と半ば駆け足で入ってきた。

 和臣の顔を見た途端、感情があふれ出すように感じて、梓は無意識のうちに立ち上がり、和臣に抱きついていた。

「和臣さん……!」

 涙声で和臣を呼び、縋るように抱きついた梓の背中を、和臣はぎゅっと抱いてくれた。

「大丈夫だ。絶対に見つけ出す」

「うん……!」

 優しく抱いてくれる腕と、固い声で、はっきり言ってくれたこと。

 両方から梓は大きな安心を感じて、体を引いて、目元をぐいっと拭った。


 泣いている場合じゃない。
 私もしっかりしないといけないんだ。
 和をちゃんと見つけるために。