「あれ、和?」

 棚をじっと見て、あれこれ手に取っていた梓は、ふと妙な感覚を覚えて下を見た。

 しかしそこに和の姿はない。

 どこかへ歩いていっちゃったのかな、と梓はどきっとした。

 和を連れて来ていたのはホームセンター。

 午前中、掃除をしたことで、掃除や家のメンテナンスに必要なものが残り少ないと気付いた。

 平日に行っても良かったけれど、どうせ少しお散歩をしてもいいなと思っていたのだ。

 それで和に「お買い物行く?」と誘ったところ、「いっしょに行く!」と答えられたので、連れ立ってやってきた次第。

 なのに、梓が商品を見るために手を離したためか、どこかへ行ってしまったようだ。

 見ていたのが掃除用品といった、子どもには面白くないものだったせいもあるだろう。

(ああ、ここは平日にしておけば良かったなぁ)

 梓は軽い後悔を覚えながら、その場を離れた。

 商品を選ぶのはあとでか、もしくは次の機会にしようと思った。

 ひとまず和を呼び戻さなければ。