「なににしようか?」

「うーんと……、あっ、ちゃーはん! やきぶたのちゃーはん!」

 手を洗いながらした質問には、すぐにそう返ってきた。

 焼き豚、と具まで指定だったので梓は少しおかしくなってしまう。

 少し前に、和臣の家からいただいた焼き豚、確かブランド豚だったと思うが、それがとても美味しかったから、気に入ったのだろう。

 でもそれはもう食べ終えてしまったのだ。

 梓はちょっと考えた。

「焼き豚は食べちゃったからね、ウインナーのチャーハンならどうかな?」

 代替案を出したが、和は膨れてしまう。よっぽど気に入ったようだ。

「ええー、ないのぉ。また食べられる?」

「またいつかはね」

 膨れる和を宥めながら、キッチンへ向かう。

 そのままウインナーのチャーハンを作り、食べる頃には和の意識も焼き豚から逸れたらしい。

 おいしい、とぱくぱく食べてくれた。

 そして午後、梓がふと思いついて、出掛けることにしたその先で、事件は起こった。