梓は現在、専業主婦なので、和臣が仕事の日に一人で業者のところへ赴くこともあった。

 家を建てるなんて、勿論、初めての経験。

 戸惑うことばかりだったが、和がのびのび育つ環境が手に入るのはとても嬉しい。

 今の家でも不足だなんて思わないけれど、より良いものが手に入るのは幸せだから。

 それでも今日は特に予定がない。

 ゆっくり家のことができるし、休める日だ。

(午後は少し好きなこともしようかな)

 そう思いながら、掃除を終えて、梓は和に声をかけた。

「和―、そろそろ終わりにしよう。ご飯を作ろうよ」

「はぁい!」

 お片付けとして、おもちゃ箱から中のものを一旦全部取り出して、綺麗に詰められるように色々考えていたらしい和は、それで振り返った。

 その様子を見て、梓はちょっと微笑んでしまう。

 和は社交的で、大胆な性格であるけれど、一方でこうして細やかというか、細部までこだわろうとする面を見せるようになってきた。

 母である梓も知らなかった顔を見せるようになってきたほど、成長しているのだ。

 そう感じるたびに、感慨深くなるのだった。