「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」

 そこへ店員が声をかけてきた。

 にこにこした中年の女性で、すらりとスタイルが良かった。

「はい。その、……今度、娘がバレエをはじめるんです」

 少しはにかんで言った梓。

 相談に乗ってもらえるなら有難かった。

「まぁ! 素敵ですね。では一揃いお探しで?」

「ええ」

 そう、これは和が今度はじめる習い事……クラシックバレエに必要な買い物だ。

 幼稚園でできたお友達が習っているというので、「やってみたい」と言い出した和。

 梓が付き添って、お友達の通っている教室へ、見学させてもらいに行ったのが二月頭頃のこと。

 そのあと家で、和臣も含めて何度か話し合った。