和臣も梓のほうを見てきた。

 愛おし気な色をした瞳は、簡単に梓の胸を高鳴らせてくる。

「ある意味、はじめに付き合ったときよりも幸せなのかもしれない。もっと、もっと梓を好きになっていく気がするよ」

 しかし、言われたことは随分甘かったので、梓の胸は、どきん、とはっきり跳ね上がった。

 かぁっと胸の中と顔が熱くなってくる。

「そ、……んな、こと」

 なんとか言ったけれど、もにょもにょしてしまった。

 でも自分だって同じなのだ。

 高校時代の秘めていた片想いが実ったのだから、はじめに付き合ったときだって、とても幸せだった。

 ただ、今は別の幸せも一緒にあるから。

 パパとしての和臣の顔は、梓に別の幸せをくれる。

 自分だけではない、娘も同じように愛してくれる和臣のことを、もっと好きになったと思う。

 だから自分も同じだ。