そして和臣が訪ねてきた。

 そのために今の、この三人での幸せな生活がある。

 まだ一年も経っていないのに、遠い昔のことのように感じられた。

 それほど多くのことが起こったのだ。

「お腹もいっぱいだし、少し歩いて回る形でいいか?」

 通路の先を指差しながら、和臣が言う。

 すでにお昼は済ませてきていた。

 ショッピングモールへ入る前に、海辺で美味しいフレンチを食べてきた。

 和臣が予約してくれた少々値の張る店で、店内は静かで落ち着いて、美味しいものに集中できた。

 海辺なので、魚料理が中心だった。

 鯛のトマト煮、ホタテのソテー、ほかには蟹なども。

 普段、和が一緒のときは、あまり外食も容易ではないし、三人で行くときだって、必然的に少しくらい声を上げても良い場所、ファミレスなどがメインだったのだ。

 こういうお洒落な食事に行けたのも、特別感を感じられて楽しく思った。