エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

 数回目のデートで和臣から「次は泊まりで会わないか?」と誘われた。

 誘われたとき、すぐにわかった。

 きっと初めての関係があるのだろう。

 付き合ったものの、まだ手を繋いでキスをしただけだ。

 最後の関係はまだ持っていない。

 でも断る理由も、断りたい気持ちもなかった。

 和臣のことを、高校時代とは違う意味でとても好きになっていた。

 昔は憧れという気持ちと、さらにそこへ『叶ってはいけない恋』という事情まであった。

 だから今は、ちゃんと自分の前にいて、自分と向き合っていてくれる相手として、地に足のついた意味で好きなのだ。

 和臣は例の、高校時代の彼女とは別れたと話していた。

 その事実には、梓のほうが驚いてしまったくらいだ。

 あれほど睦まじい様子で、お似合いのカップルで、校内公認だったのに。

 でも大学に入って、学校が分かれたことで心に距離ができてしまったと和臣は話した。

 それを聞いたとき、梓は自分のことに照らし合わせてしまった。

 大学時代からの彼氏、今では元カレとの関係と同じようなものだろう。

 物理的な距離というのは、心の距離にも比例することがある。

 きっと和臣もそうだったのだろう、と思って、梓は納得した。