「ごめんな、和。声を上げたりして」

 和臣は再びしゃがみ込み、和をしっかり抱きしめた。

 和も和臣の胸に強く抱きついたようだ。

「ううん、ううん……! 本当に、パパはわたしを守ってくれた……!」

 声は震えているようにも聞こえた。

 それほど感動して、心が震えたのだろう。

 娘として、なにより嬉しかったことのはずだ。

「和臣さん……、ありがとう」

 一歩踏み出した梓。

 二人の近くへ寄り、同じようにしゃがんだ。二人を見守る形になる。

「いや、梓こそありがとう。……本当に、強いママだよ」

 和臣はしっかり和を抱きしめたまま、梓を振り向いた。