「言っただろ? パパは和のことを絶対に守るって」

「うん」

 きゅっと、和臣の腕が和を強く抱いた。

 上から覗き込むようにして、和の顔を見ている。

 和は今度、ためらうことなく頷いた。

「それはな、和が危ないとき守ってやるだけじゃない。和の心が晴れじゃないときも守ってやる、って意味なんだ」

 言って聞かせるような口調だった。

 優しく、穏やかな中にも真剣な響きだ。

「こころが……?」

 和もそれを察したのだろう。

 首を上げ、下から和臣を見上げるようにした。

「ああ。和の心は今、くもりなんじゃないか? すっきりしないんじゃないか?」

 和臣はやはり、和の体をしっかり抱きしめながら言った。

 和の首は今度、縦に動いた。

「あんまり曇ると、雨が降ってしまうかもしれない。それは辛いだろ?」

「……うん」

 きっと和の顔は少し歪んだだろう。そんな声音になる。