確かにそれはあると思うけど、と梓はじれったくなってしまう。

 自分も小学生時代、そういう男の子にいじられたことがあったし、幼い男の子はそういった行動で表現をすることは往々にしてあるのだ。

 ただ、親としては、そうなんですね、と引き下がれはしないだろう。

 和はまだ四歳。

 子ども同士で解決しなさいというには早すぎる。

「あ、おはようございます! 今日は早いんですね」

 しかしそこで別のお母さんと子どもがやってきた。

 和と同じクラスの子であったため、先生はそちらに視線を向けてしまう。

「せんせー! おはよー!」

「はい、おはよう」

 その子と先生は話しはじめてしまい、梓は悟った。

 これ以上、長々と話はできない。

 そもそも朝、今日は早めに来たとはいえ、登園時間に先生を占領するわけにはいかないのだ。

 よって、やはり不満が解消しきらない気持ちを覚えつつも、今、話をすることは諦めた。