翌日、梓は和を送っていくと同時に、担任の先生に話をした。

「ちょっと、子ども同士でトラブルがあるみたいなんですけど……」

 そんなふうに切り出した梓。

 先生はわずかに眉を寄せた。

 現在の和が所属するクラス担任は、中年の女性だ。梓より十歳ほど上に見える。

 穏やかで優しいけれど、それだけにあまりびしりとは言わないのだと、ママ友になったママたちは言っていた。

「和ちゃんの周りですね。確かに男の子がちょっかいを出しているのを見ますね」

 先生も把握しているのだ。

 程度まではわからないが、梓は少しだけほっとした。

 子どもたちの様子はよく見てくれているらしい。

「それがちょっと不安みたいなんです」

 梓が続けたことに、先生はもうひとつ眉を寄せる。

「私からも話をしますが、男の子は和ちゃんが好きなのかな。それでつい意地悪をしちゃうのはあるかもしれません。幼稚園児や小学生にはよくあるやり方ですが」