「そうだと思うけど、やっぱり、不安そうにしてるのが心配で……」

 そのとき、和臣が不意にお箸を置いた。

 次に手を伸ばした。

 梓が湯飲みを包んでいた手に触れてくる。

 梓は目を丸くしてしまった。

 けれど、そっと湯飲みを離して、和臣の手に握られる形になる。

「大丈夫だ。もし先生に話してなんとかならなかったら、俺がなんとかする。和の笑顔を守るよ」

 きっぱり言い切ってくれた言葉は、梓の胸を熱くした。

 これほど大切にしてくれるパパがいるのだ。

 絶対大丈夫だ。

 少し残っていた不安は、するっと消えていった。

 しっかり握ってくれた手から、安心に取って代わる。

「ありがとう」

 そう言った顔は、今度こそ笑顔になった。お礼も濁らない声になった。

 梓の手をぎゅっと、強すぎない力で握ってくれた和臣。


 私もするべきことをしよう。
 和臣さんが助けてくれるなら、私もママとして頑張ろう。
 和の笑顔がなにより大切だから。
 そして、和臣さんもそう思ってくれる気持ちは、私とまったく同じなんだから。