(警視庁!?)

 今度は仰天してしまった。

 警視庁に勤めているのは警察官の中でも優秀なひとというイメージがあったし、実際、漫画やドラマの中で見た警察モノはそのように描かれていた。

 つまりエリートということではないか。

 もう驚きが追い付かない梓であったが、和臣はそこで先輩というひとに小突かれてしまった。

「かわいい後輩と再会できたみたいで良かったが、もう行くぞ」

「あ、はい! すみません」

 和臣は振り返り、気まずそうに先輩に謝った。

 仕事中なのだから当然だ。

 でもただ通りかかった場所で、梓を見かけただけで気付いて呼び留めてくれたのだ。

 胸がほわっとあたたかくなる。

「じゃ、これで……あ、そうだ! これ、俺の番号。良かったら久しぶりに話そうよ」

 和臣は行ってしまうかと思ったが、その前に慌てた様子で懐に手を突っ込んで、名刺入れを取り出した。

 そして一枚くれたのである。