「自動車学校に行くんだよね。勉強って難しい?」

「それほどでもないよ。近くを走るだけならオートマでじゅうぶんだと思うし、それならもっと難しくないと思う」

 そんな、軽い話題を交わすうちに、車は家の近くまで帰ってきていた。

 あと十分もしないうちに帰りつくだろう。

「和のお風呂は明日でいいかな。起こしちゃうのも可哀想だろ」

「そうしよっか」

 話は和のことへ向かっていって、梓は今日のことを改めて嚙みしめた。

 あれから向かったテーマパークも楽しかった。

 子ども向けの乗り物に乗ったり、動物と触れ合えるコーナーでうさぎやモルモットなどを抱っこしたり……。

 和ははしゃぎっぱなしだったし、家や幼稚園とも少し違うような表情を見せてくれた。

 そういう体験をさせてやれたことを嬉しく思う。

 そして、こういう『現在』をくれたのは、和臣なのだ。

 自分と和にたくさんの幸せをくれるのは和臣なのだ。