でも今は、頼ってしまうことだけど車はある。

 もう一台だって、自分がパートなどに出れば買えるのではないか、と梓は思っていた。

 実のところ、和臣の収入であれば、車を二台所持することなど簡単だ。

 だが、甘え切ってしまう思考を好かない梓は、とりあえず、自分の考えとしてはそう思っていた。

「そうだな。和が大きくなって、学校とか、習い事とか、行くようになったら便利かもしれないなぁ」

 暗い中を走りながら、和臣は軽い調子で答えた。

 梓はちょっと前向きに、現実的に検討してみようかな、と思う。

「うん。送り迎えができたらいいもんね」

 まだなにか習い事をしたいという話が出たことはない。

 でも女の子らしい遊びが好きな子だから、ピアノとか、あるいはバレエとか……そういったものに興味を覚える可能性は高かった。

 それに習い事は良いものだ。

 勉強以外に夢中になれるものに出会えるかもしれない。