エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

 もう和臣は過去のことを謝らなかった。

 もうおしまいにしようと決めたのだ。

 これからは先を見て、歩いていくと。

 過去のことは大事だ。

 今日、こうして挨拶に来たくらいに、大切なことだ。

 でもそれは別だから。

 想い出は想い出としてしまっておいて、三人で見るのは、未来である。

「ふふ、楽しかったぁ」

 和は結花と手紙の交換をしていて、かわいらしい水色の封筒を手にしてにこにこしていた。

 友達と引き離す形にしてしまったのは、あのとき心痛んだのだけど、今でも繋がっているものは確かにあるのだ。

「さぁ、次はテーマパークだぞ! 着いたらまずご飯かな。なにを食べようか?」

 運転する和臣が、気持ちを盛り上げるように言った。

 このあとは子ども向けのテーマパークに遊びに行くことになっていた。

 和はすぐに、カレーがいい、でもハンバーガーも……などとおしゃべりをはじめる。

 過去と現在、そして未来が混ざり合う、ちょっと不思議な一日は、まだ半分も経っていない。

 今日は特別な一日。

 たくさん楽しもう、と梓は自分も話に混ざりながら、噛み締めていた。