エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

「……和、よく寝てるかな?」

 でも小さな声で言われたことは、確かにパパとしての役割も忘れていないものだったから、梓は小さく笑ってしまう。

 本当に、和臣が大切にしてくれるのは自分だけではない。

 愛娘のことだって、片時も忘れたりしないのだ。

 自分と娘、両方を愛してもらえるのは、自分だけを愛してもらえることより、ある意味では幸せなことかもしれなかった。

「うん、大丈夫。今日は幼稚園で外散歩があったから、ぐっすりだよ」

 寝つきが良かったのは、体をたくさん動かして疲れたのもあるのだろう。

 つまり、ちょっとやそっとでは起きる可能性は低い。

「そうか。……じゃあ、……恋人の時間を過ごしてもいいか?」

 梓の肩を軽く引き、自分から離して、和臣は今度、梓と視線を合わせてくれる。

 優しい視線だけど、梓はひと目見ただけで知ってしまう。

 この瞳の奥には確かに、『パパ』ではなく、『男』の色がある。

 少し鋭くて、強い色。

 梓を違う意味で、どきどきさせてしまう色である。