自分たちのためと言ってくれる。

 ひいては自分たちを守ってくれるということなのだ。

 和臣が一番守りたいのは、プライベートでは自分と和。

 そこは驕ってもいいのだと思う。

 愛されていると、強く実感できるのだから。

「でも、時々はパパとママじゃない時間も過ごしたいなと思うんだ」

 和臣がこちらに身を寄せてきた。

 今度こそ、肩が触れ合う。

 梓が余計どきどきしてしまうような言葉と温度だった。

 手を伸ばされて、すっとティーカップを和臣によって取り上げられた。

 それはカチリと音を立てて、テーブルにあったソーサーに戻されてしまう。

 和臣が自分で持っていたカップも同じようにされた。

 そのときから、このあとどうなるかをすでにわかっていた。

 とくとくと心臓の鼓動が速くなってくる。

 その通り、和臣は今度、梓に腕を伸ばしてくる。

 体を包み込むように腕を回し、ぎゅっと抱いた。

 どきんとしたけれど、それより幸福感が梓の身を満たした。