元カレからの電話を取った瞬間、梓は理解した。

 電話がどういう目的でかけられたものなのかも、そしてこれですべて終わりなのだということも。

 その通りのことを言われたので、梓はもう、抵抗する気も引き留める気もなかった。

「わかった。……今までありがとう」

 それでおしまい。

 三年以上も付き合った割には、あっさりしすぎていたかもしれないほどの終わりだった。

 でも梓は少しだけ落ち込んで、少しだけ泣いて、自分の気持ちも終わりにした。

 あのまましがみつくのも不毛だった。

 気持ちはとっくに離れてしまっていたのだし、それならずるずる続けるのになんの意味があるというのか。

 それよりはすっきりできて良かった、と思えるようになったのが三月のことだ。